波多康治会計事務所

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Koji Hata Accounting Office

会社清算時における青色繰越欠損金控除 2015.09.01

当社は、資本金が1億円を超えているため、青色繰越欠損金の全額を控除することができません。今回、当社は解散・清算することになり、外国法人である親会社から借入金を放棄してもらうことになりました。その分、債務免除益になり、青色繰越欠損金控除前の所得は黒字になります。清算で会社はなくなるわけですが、今までと同じように青色繰越欠損金を全額控除できないのでしょうか。なお、前期以前の事業年度から繰り越された青色繰越欠損金は十分残っています。また、外形標準課税による事業税の方はどうなりますか。
資本金1億円以下の中小法人は、当期の所得金額から青色欠損金の全額を控除できますが、資本金1億円を超える大会社や資本金が5億円以上の会社の完全子会社については青色欠損金の控除額が制限されています。平成27年4月1日から平成29年3月31日までに開始する事業年度については、繰越控除前所得金額の65%しか控除できません。さらに、平成29年4月1日以降開始事業年度からは50%になると同時に欠損金の繰越期間も現行の9年から10年に延長されます。
清算事業年度の決算申告も現在は通常の事業年度と同じように損益法によります。したがって、御社の場合、清算事業年度であっても、青色繰越欠損金の控除制限があります。一方で、残余財産がないと見込まれるときは、清算事業年度において、期限切れ欠損金の損金算入制度というのがあります(法人税法59条③)。具体的には、法人税の別表七(三)で計算をします。前期以前の事業年度から繰り越された欠損金があれば、それも控除できますので、青色繰越欠損金の控除制限がないのと同じ結果になります。
外形標準課税による事業税についても、御社の場合かかりません。所得割、付加価値割はもちろんですが、清算事業年度においては、資本割についても、資本金等の額はないものとみなされるため、かかりません(地方税法72条の21)。
なお、御社の場合は、親会社が外国法人であるため、いわゆるグループ法人税制の対象外ですが、グループ法人税制の適用がある場合は違ってきます。詳細は省略しますが、100%子会社が親会社から受けた債務免除益は子会社の益金には算入されません。また、親会社は100%子会社の未処理欠損金額を引き継げます。